そろばんネタ帳
そろばん四方山話
004)黒檀(コクタン)て、どんな木?
「黒檀の木は、もともと黒いのですか?」「黒色に染めているのですか?」と言う質問が良くありますので、そろばんの枠に使用されている黒檀の材料について説明をします。
樹種名:黒檀(コクタン) Ebony(英)
産地:インドネシア(セレベス島)を中心に東南アジア全域およびアフリカ一部に分布。
性質:非常に重く硬い材で、加工はきわめて難しい。耐久性に優れている。
インドネシアの熱帯雨林における黒檀の原木の生息状況の画像が入手できましたので 添付します。この画像は貴重品です。
「第2次大戦中に日本軍がインドネシアに侵攻した際に、熱帯雨林を進軍する日本軍がこの硬い樹木を切り倒すのに苦労した」という話を聞いたことがあります。この画像を見れば、納得できるように感じます。
左図は黒檀原木を輪切りにしたものですが、表皮の部分を除いて、黒々とした色の黒檀材を見ることができます。ご覧のとおり、黒檀はもともと黒色をしています。よく見ると縞模様になっていて、真っ黒な部分と少し赤みかかった部分が縞模様を成しています。
算盤に使用されている黒檀には大きく3種類があります。
縞黒檀:主にインドネシアで採取される、比較的縞目の粗い黒檀材。
アフリカ黒檀:主にアフリカで採取される。縞目の細かい黒檀材。
本黒檀:青黒檀とも呼ばれる。非常に緻密な木目を持つ超高級材。
【本黒檀のトクサ仕上げ】について
超高級品そろばんにのみ使用される特殊な製法。現在では、ほとんど実用化されていない。
黒檀の表面の仕上げに塗料を用いないで、天然材料の「トクサの表皮」更には「ムクの葉」により、丹念に磨いてゆきます。仕上がりは、通常の塗料仕上げに較べて艶が少なく、地味なつや消しの印象になります。(トクサについてはこちらを参照)(ムクノキについてはこちらを参照)
ところが、このそろばんは、丁寧に使用してゆくに従い、手の持つ脂分を吸収し光沢を増して行きます。
弊社コレクションの中にも、弊社製の同仕上げのそろばんがあり、その光沢ときめの細やかさで、一見黒いプラスチックに見えるほどの優れものです。いずれ、当サイト上でご紹介させていただきます。乞うご期待。