そろばんネタ帳

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056)NHK美の壺「刺身」の職人技とそろばん

NHK美の壺「刺身」を見て、長年の課題が一つ解き明かされましたので、ご紹介いたします。動画の音声が聞き取りにくいようですので、少し補足します。

①良い刺身はホワー、ホワーとした舌触りがしますが、これは細胞を崩さずに調理したためです。

②刺身の細胞を崩さないように包丁を入れて行くと、醤油をかけても浸みこまないで、表面を流れて行くそうです。

③「ここに包丁を入れてほしい、という声を聞くように包丁を入れて行くのです」

さて、ここからは手創りそろばんの銘工から何度も聞かされている話です。

A:そろばん玉の内側は、鏡のように磨きあげられています。これは、硬くて緻密な木材を良い刃物でスパーと削った結果なのです。ヒノキや杉などの粗い材料はいくら磨いてもあのような表面にはなりません。

B:そろばん玉の内側と竹芯の表面の関係は、非常にデリケートで、微妙な凸凹や異物が詰まるとタッチが微妙に変わってしまいます。

C:大事なことは、木の繊維を崩さないで削ること。そうするといつまでも絶妙の調子を保つことが可能になります。この考え方は、刺身作りの名人と同じです。良い刺身は身が崩れていないのです。

D:雲州では、伝統の”たたら製鉄”という技術で、日本刀とおなじ玉鋼(タマハガネ) を使用して工具を作っています。建築の大工さんとは、扱う木材の堅さが雲泥の差ほどありますので、使う工具にもこだわりがあるのです。

E:機械で削ると、繊維を押し付けたり、無理やり引きちぎったりして、手作りの絶妙の調子は出来ません。

F:手回しの工具を使って、手の感触を大事にしながら、ためらうことなく切削を進めます。同じ材料で見た目に分からなくても、長年培ってきた手の感触で感じ取ることができます。

というような話ですが、実際に刺身職人に上記の話を聞く機会はありませんでした。

さすが、NHK。奥深い話を画像と対話を含めてかみ砕いて解説していました。

小職も、長年の課題の答えを見つけた気がしております。

刺身の職人技
刺身の職人技