そろばんネタ帳

そろばん四方山話

089)牛乳石鹸様 訪問

2019年2月、牛乳石鹸マーケティング部から、「弊社名入れそろばんの年代や価格を教えてほしい」と言う依頼をいただき、珠算史研究学会の大垣憲造先生と訪問をさせていただきました。

意外にも、牛乳石鹸共進社様は、弊社所在地より地下鉄3駅と言う至近距離にありました。

見せていただいたそろばんは、事前にいただいた画像から想像していたより小ぶりで、当時記念品に良く使われていた大型の商店用そろばんとは違い、より実用品に即したサイズでした。

13桁カバ玉 上1玉・下5玉。枠材は黒檀材ではなく、普通の木材に黒く塗装されていました。裏面のクリ板に名入れのある金属板が組み込まれており、牛乳石鹸様の有名なマークやロゴが印刷されています。かなりこだわりを持って企画されたインパクトのある名入れと感じられました。

 

金属板下部には弊社のロゴが印刷されていましたが、弊社ロゴの年式から、戦後の生産と思われます。

ただし、「5玉が採用されていること」、また「黒檀材が使用されていないこと」から、戦後の早い時期ではないかと推測されます。戦後、輸入木材である黒檀材の入手が困難な時期が続き、その時代の製品ではないかと思われます。

牛乳石鹸様も2009年に100周年を迎えられた歴史ある名門企業です。弊社も創業121年を経て、このような立派な企業の収集品と出会うことが出来ることを感謝したいと思います。

※実は、自社の古い製品はなかなか保管していないのです。「自社の歴史を刻む製品」と言う意識や余裕は、当時あまり無かったようです。