そろばんネタ帳

そろばんコレクション

015)初代永臺作 川村式そろばん

永臺作 川村式そろばん

 弊社と初代永臺とのおつきあいは古く、多くの永臺作品が非売品として、保管されています。

ここにご紹介するのは、「23桁カバ玉 川村式そろばん黒中」です。昭和45年8月 永臺83歳の作です。

 

 

                                    
永臺作 川村式そろばん

・「川村式そろばん」とは、「競技用そろばん」の代名詞であ り、右写真でもわかるように、枠の厚みが薄くなっています。高級手作りそろばんの証しともいえる、裏のクリ板なども省略されており、枠の丈夫さを犠牲にして、玉の調子を良くすることに全力を傾けています。

・そろばんの玉の大きさはほとんど変わりませんが、枠の厚みや微妙なデザインの違いにより、玉が大きく見えたり、重く感じたりする相違があります。川村式は玉が大きく、そして重く感じる傾向があります。選手が玉の動きに信頼感を感じ、集中力を高める効果があります。

 ・さらに、通常のそろばんには「ハリ」の部分に白いセル部分があり、その中に黒い定位点が打ってありますが、このそろばんは「黒中(くろなか)」と呼ばれる通り、白い部分がありません。セルの1.5mmほどの厚みを無くし、少しでも玉が浮いて見えるように工夫されています。

 

・初代永臺のそろばんは、全般的に控え目な枠作りが玉の調子を際立たせる傾向がありますが、この「川村式黒中そろばん」は、その頂点と表現して過言でないと感じます。逝去後何十年を経過しても、その玉の冴えは変わることなく、玉をはじく金属音が、華奢な枠に反響しながらピタリと停まる様は、惚れボレさせるものがあります。