そろばんネタ帳
そろばんコレクション
005)斜めそろばん(自然式)
大正から昭和初期にかけて、事務作業では、伝票計算が頻繁に行われていました。伝票を左側に置き、そろばんを右側に置くと右端の桁はずいぶん体から離れてしまいます。その際の運指の効率を考えて開発された当社製品です。
大正年間、計算事務の多い「貯金局指定品」として、実用に使用された画期的な大量生産製品。雲州堂所有「実用新案特許」 24桁カリン玉。
「自然斜軸型」:左端から右に行くに従って、軸の角度が寝てゆきますが、これが製造技術上きわめて高度な技術を必要とします。当時の雲州堂の製造技術の高さを物語っています。
左の画像で、確認することが出来るでしょうか。「枠やハリの竹芯に接している左側の部分が少し凹んでいます」 玉の左側の部分が余分に上がることにより、玉全体がピタリと上枠やハリに吸い付くように止まるのです。この部分が、「そろばんの計算 しやすさ」に大きく影響するのです。
そろばん枠の表面に刻印されていた雲州堂の実用新案番号は磨り減っています。このそろばんは、かなり長い期間丁寧に使用されていたものと推測されます。
※このような、奇抜なアイデア の製品が、貯金局という大きな役所で実際に大量に使用されていたという事実は、驚くべき事だと思います。